突破エピソード その①

「市長とシムシティで対決したい!」
無謀な企画を実現させたのは…愛?

突破エピソード、それは上司やクライアント、世間の常識といった壁をクリエイターが突破する際に生まれる物語。「無理だろ」「別案ないの?」そんな壁を突破してきた猛者たちに、エピソードをお聞きしました。
突破したクリエイティブ
「市長って本当にシムシティが上手いの?千葉市長とガチンコ勝負してみた」
今回取り上げるのは、シムシティの新作アプリゲーム「SimCity BuildIt」のために企画された広告。これはクライアントではなく、千葉市長を突破したクリエイティブです。

突拍子もない企画を思いついた瞬間から、「市長とゲームで対決したいんですが」とアポを取るやりとり、そして、実際の撮影現場の雰囲気を伺いました。結果、無謀だと思われたこの広告はどのような効果をもたらしたのでしょうか?
バーグハンバーグバーグ 山口むつお

山口さんはディレクターという立場でこの広告を制作したわけですが、そもそもどういうきっかけで企画がスタートしたんでしょうか

弊社が運営しているWEBメディアでよく記事を書いてくれているヨッピーというライターがいるんですが、そこに「シムシティの新作ゲームの広告で、なにかおもしろいことやれませんか?」と相談があったんです。それが弊社に持ち込まれたという感じですね。

WEBライター ヨッピー

ライター経由で仕事が回ってきたんですね。クライアントから何か希望や制約はありましたか?

基本的には自由に考えてほしいということだったので、社内でヨッピーを含めてアイデア出しを行いました。いくつかアイデアは出たものの、どれもピンと来なかったんですよね。

会議も行き詰まって雑談してる時に、誰かがふと「シムシティがうまい人ってどういう人なんだろう」って言い出して、それに応えるように「本物の市長はシムシティうまいのかな?」って言葉が出てきたんです。全員で、それいいね!と。

その案をクライアントに提案した時の反応はどんな感じでしたか?

「おもしろいですね!」とほめてくれたんですが、同時に「でも、実現できますか?」と心配されました。僕自身も、市長がゲーム対決なんてしてくれるわけないよなと不安に思っていて、だから代替案も考えながら、すぐに動き始めました。

クライアント側にはスッと通ったんですね

企画内容はスーパーファミコン版のシムシティで対決する、というものだったので、「新作(SimCity BuildIt)での対決にできませんか?」とは言われました。でもそこは、誰もがすでにゲームのルールを把握してるスーパーファミコン版を使った方が絶対に良い!と言って押し通しました。

スーパーファミコン版シムシティ

市長の中でも千葉市長を選んだのはどんな理由だったんでしょう?

ライターと共に色々な市長のことを調べていたんですが、千葉市長の熊谷さんはTwitterのフォロワーも多く、ネットをうまく活用されていたのでピッタリだなと思ったんですよ。あと市長としてはかなり若い(37歳)ということもあって、こういった企画を理解してもらえるんじゃないかと。

千葉市長 熊谷俊人

アポを取るときは何と伝えたんですか?

それはもう正直に「市長とシムシティで対決したいんですが」と伝えるしかないですよね…。

よく怒られませんでしたね

こんな突拍子もない提案なのに、職員の方は冷静に対応してくれました。ただ、当たり前ですけど、電話の向こうでは「突然何を言ってるんだこの人は?」という顔になっていたと思います。申し訳ないことをしました。

市長にアポを取るとなるとかなり時間がかかりそうですね

いえ、秘書の方からすぐに連絡が返ってきて「市長は乗り気です」と。こっちから企画を持っていったのに、「え、ほんとにいいんですか?」と思ってしまいました。

企画書を送ってほしいと言われたので、普通の企画書より、少しユニークなものの方が企画内容が伝わるかなと思い、かなり考えて作りましたね。

実際に送った企画書の一部

結果、OKが出たわけですが、その時の気持ちはどうでしたか?

OKが出た瞬間に「当たった!!」と思いましたよ。この記事はもう成功したと。ここがOKなら、あとはもう当たる要素しかなかったから。

市長は乗り気だったそうですが、市長以外の方の反応は?

もちろん最初は断った方がいいんじゃないかという声もあったみたいです。でも何回も打ち合わせをして、企画内容や千葉市のPRにもなるということを理解してもらって。結果的に、取材に訪れた時には職員の方にもすごく温かく迎えてもらいました。

千葉市長とライターのヨッピー、実際の対決風景

他にも取材はたくさんしてきたと思いますが、市長への取材ということで、今までと違うことはありましたか?

職員の方が4人くらい同席して見守っていたので緊張しましたね。

そんな雰囲気の中、ライターのヨッピーはビーチサンダルを履いてきまして。秘書の方には「サンダルでこの会議室に入った人間は初めて」と笑われました。

取材自体は楽しい雰囲気で、滞り無く撮影できました。

サンダル履きのライター

記事が公開されてからはどんな反響があったんでしょうか

現時点でTwitterが1万4千リツイート、はてなブックマーク1786と、めちゃめちゃバズりました。シムシティのやつおもしろかったよ!と色んな人に言われて嬉しかったですね。

ゲームの広告としての手応えはどうでしたか?

「シムシティ」という言葉がトレンドワードに入り、かなり話題にはなったと思います。新作ではなくスーパーファミコン版を使用したということもあって、記事中には意図的にモリモリと新作のPRも入れました。クリック率が良かったらしく、クライアントの方でも驚いてましたね。

記事中に入れられたSimCity BuildItのPR

広告としては成功だったということですね!では最後に、クリエイターとして、作品を突破させることについて意見をいただけますか?

作品を突破させるのは、愛です。愛の対象は商品でも、クライアントでも、取材をしている人へでもいい。

良いものにしたい!っていう愛がないと、何かを突破できるほど一生懸命にはなれないと思います。

突破された人からメッセージ

提案のメール内容を見た時、最初は突拍子も無く、目を疑いました。時間を割くのも難しく、周りも断る気満々でしたが、企画としては面白いと思いましたし、ゲーム内で千葉市を再現して千葉市のPRができればアリかもしれないと判断し、お受けしました。


公開されたのは盆踊りのシーズンの直前だったでしょうか? 踊りの会場に行く度に、会う人会う人に「シムシティ見ました!」と声をかけられ、はじめて会う市民の方々とも、話の糸口となり、朗らかな関係ができましたよ。

千葉市の好感度もあがったと感じています。感謝です!

 

千葉市長 熊谷俊人

市長って本当にシムシティが上手いの?千葉市長と、ガチンコ勝負してみた

■GOを出したのは・・・千葉市長

■突破したのは・・・株式会社メタップス・株式会社バーグハンバーグバーグ

シムシティの新作アプリゲーム「SimCity BuildIt」のために企画された広告。WEBメディア・オモコロ(http://omocoro.jp/)にて、ライターが千葉市長とシムシティで対決する記事として公開された。